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『燃ゆる女の肖像』(Portrait de la jeune fille en feu) 感想

映画『燃ゆる女の肖像』(Portrait de la jeune fille en feu) の感想です。

 

TOHOシネマズなんばにて鑑賞しました。

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仕事終わりに映画館に駆け込んで、1人で堪能して、パンフレットを買って、余韻に浸りながら家に帰る時間が本当に大好きです。

 

君の名前で僕を呼んで』にとても似てるなあと終始思っておりました。というか共通するシーンが沢山あった。同性同士だからって安直に繋げたわけでもないし、最初から別れがやってくることをお互い認識してる上での恋愛模様であることを除いても。

 

オルフェウスの話、好きな小説にも出てくるし、大学時代のギリシャ神話の授業でも触れたことがあって、知ってはいたけど、そんなに考えてみたことはなくて。ただただ悲劇だと受け止めてたけれど、オルフェウスが振り返ったのは、妻の思い出のためというマリアンヌの解釈...!それが彼女たちの別れのシーンに繋がるのとか、CMBYNのis it better to speak or to die?が浮かんで仕方なかった
こういう演出、本当に好きにならざるを得なくてずるい、けど大好き

 

予告編から想像していたエロイーズとマリアンヌの2人の関係性についてのストーリーだけじゃなく、お手伝いのソフィを含めた3人の関係性も丁寧に描かれてて。

 

エロイーズの母である伯爵夫人が家からいなくなってから、ソフィとエロイーズとマリアンヌの上下関係が消えてフラットになったのがとても好きだったんですが(トランプのシーンお気に入り)、そこからのソフィの中絶の話がなかなか辛かった。中絶の際に、真横で赤ちゃんが遊んでるのどう捉えたら良いのか。


けど安易にシスターフッドと呼んでいいのか分からないけど、いつの時代も女性同士こうやって助け合って生きてきたんだろうなあ。

勝手に母親に決められた結婚から逃げるために自殺したエロイーズの姉、その姉の代わりとして結婚しなければいけないエロイーズはもちろんなんですが、マリアンヌが女性画家である故に男性ヌードを描くことが許されてなかったり、父親の名前を借りて作品を発表してたり、ソフィが望まぬ妊娠をして1人で中絶をすることを決意→大っぴらにはできないので夫人が家にいない間に中絶決行するとか、節々に当時のジェンダー観を感じれたのが良かった。女性目線の丁寧な映画だなあと。

 

ラストシーンで曲中涙するエロイーズ、しつこいですがCMBYNのラストの暖炉の前でのシャラメくんが重なって仕方なかったなあ。あのシーンのためだけでももう一回見に行きたい。

 

途中の祭り(?)のシーン、突然ミッドサマー始まったと怖かったけどちょっと笑ってしまった

 

商業的なtheエンタメ映画も大好きですが、こういう静かで繊細な映画を1人で見る時間も大切やねえ。最高でした。