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『RBG 最強の85才』(RBG)感想

ドキュメンタリー映画『RBG 最強の85才』(RBG)の感想です。

 

アップリンク京都にて鑑賞しました。

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アメリカの最高裁判所の判事の1人であったルース・ベイダー・ギンズバーグ(RBG)についてのドキュメンタリーです。残念ながら先月87才で亡くなられました。

 

去年の春、社会人生活が始まる数日前に出会ったRBGの伝記映画『ビリーブ』は私にとってとても大切な作品で。それきっかけでRBGに興味を持って。


いつか観ようと思ってた今作を、まさかご本人の追悼上映として映画館で観ることになるとは。
アップリンク、上映してくれてありがとう。


何を感じたかいつも以上に鮮明なままにしておきたいので、長文です。

 

 

“I ask no favor for my sex. All I ask of our brethren is that they take their feet off our necks.”

ほんまにこの通りやなあと上映中何回も頷いた。

 

フェミニストフェミニズムという言葉を聞いただけで攻撃的になる人をネット上でよく見かけるのですが、

フェミニストの1人として常々言いたいのは、決して男性を突き落としたいとか言ってるわけではないということ。

 

伝えたいのは、性別で人をカテゴライズしてジャッジしたり、性別という要素だけで人から選択肢を奪ったりするのをやめてほしいということで。アトロクで宇多丸氏も言ってたし、『ビリーブ』の題材になった裁判からも分かるように、家父長制による性差別で男性側も傷ついているんだし。

 

男性よりも女性!とかが言いたいわけじゃ決してないのに、議論が始まる前から攻撃的なの本当にどうしたら理解出来合うのか分からなくて泣きそうになる。

 

0からプラスに、ではなく、マイナスから0に向かうようなイメージ。

 

とか言いながら、フェミニズムしかり、自分が絶対に譲れないことで対立した相手に対して私は感情的になってぶちまけてしまいがちなのですが、
(相手選ばず許せないことは主張できるというのが私の良さでもあると思ってる、けれどその方法だけでは根本的な理解には繋がらんなとも思ってる)

 

ルースは怒りは無駄だという母の教えに従って、反対意見を持つ白人男性と話す際には、自分は幼稚園の先生だと言い聞かせて幼稚園児でもわかるように話すらしい。
なんて賢くて忍耐強い人なんだ...。

 

私世代でさえ性差別をまだまだ毎日感じていて心が折れそうなのに、今よりも差別が激しかったルースの生きた時代(過去形使わなければいけないことが悲しい)、差別発言に激情せず、男女平等に一歩ずつ向かうためだからこそ、落ち着いた姿勢で理解を求め続けたの、本当に強いなあ。


自分と政治的主張は正反対の同僚の男性判事とプライベートで仲良くしてるのもただただ凄いなあ、と呆気に取られた。

 

価値観が全く違う人とどうやって歩み寄っていけばいいのかということが最近頭でずっと考えてたことの一つなのでタイムリーだったんですが、

「正反対の価値観を持つ」という相手の一面だけじゃなく、その人の他の面も見て、魅力を認めてて、そっちに比重を置いてたんかな。

 

今の私にはそれが出来ないだよなあ。立場的に、表面には嫌悪感を出さない場合もあるけど、その考え方許せないなと思ったら勝手に壁を作ってしまって、そこから再び歩み寄ることができなくて。
自分が安心できる人や物で周りを固めて居心地良い環境を作り上げてしまってるなあと最近痛感してるのですが、ルースみたいに80過ぎても自分とぶつかる主張を持つ人とも仲良くしてたいので、意識して行動しようと思います。

 


ルースの活動はもちろんなんですか、職場で性差別に気づいた女性たちが声を上げて裁判を起こして戦っていく姿にも感激しました。社会に向かって声を上げれないけども確かに戦っている数多くの名もなき人の存在を映画キムジヨンで再認識したんやけども、そういう人のためにも声を上げることが大切よなあと思います。

 

今の時代でもかなり小数派である、妻のキャリアを支えてくれた夫マーティン。

 

マーティンがルースに向けたラブレターが最高やったなあ。尊敬し合う関係でいたいよね。

 

ビリーブのアーミーハマー演じるマーティンも久々に見たくなったので、ビリーブ再上映も無理矢理にでも行こうと思います。

 

エンドロール、ビリーブでのケシャには号泣させられましたが、ジェニファーハドソンの力強い歌声も素敵やったなあ。

 


あと印象的だった点をいくつか

・RBGと言えば!な襟なんですが、法服は男性向けで男性がネクタイを見せれるように首元が空いてるという事情があったから、自分でアレンジしてああなったらしい

 

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つけ襟の種類が豊富で、多数派の意見を述べる時、反対意見を述べる時でつけるものが違うらしく、こだわりが凄いのとこんなところまで考えつくされてるんやなあと

 

SNLのケイトマッキノンのRBGモノマネを見て笑うRBGご本人🔥なんて懐が深いんや🔥はあ🔥


Weekend Update: Ruth Bader Ginsburg on Not Retiring - SNL

 

 

アメリ最高裁でさえ白人男性だらけな現実。他の場面でもルースはいつも男性ばかりの環境で働いてて。その男性達がどういう人であったとしても、そもそも男性ばかりの空間に1人だけいる女性が感じる肩身の狭さや居心地の悪さを、この映画見にきていた男性は気づいてくれてたのかな?と思った。白人男性の中に1人ぽつんと存在する小柄なルースの写真がこれでもかと出てきて、私は辛かった。

 

 

・トランプ政権下でRBGが亡くなってしまったことで今後起こり得る恐ろしいことをようやく知った。SNSで著名人達が声を上げてたのはこのことか。

 

・“People ask me sometimes… ‘When will there be enough women on the court?’ And my answer is: ‘When there are nine.’”

 

・観客、年配の男女が多い中、同世代の女性も数人いて。一緒に頑張っていこうね、と勝手に。

 

・若い頃のルースと、ビリーブでルースを演じたフェリシティ・ジョーンズ滅茶苦茶似てる...!アーミー・ハマーとマーティンはあんまり似てないけど!笑

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・雄弁で、自己主張をしっかりして、活発な人なのかなと思っていたら、シャイで静かで自己主張はしないし、世間話なんて一切しないけど、思慮深くて確信をついたことだけパッと言う人だと周りの人が評してて、自分とはかけ離れてるけどそういう人憧れるなあと。

 

・パンフレット、文量そんなに多くはないけども、このドキュメンタリーを作った監督2人の言葉がとてもよかった。飾ります。