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映画や海外ドラマ、Netflix作品を中心に、好きなことについてだらだらと。

『この世界の片隅に』(In This Corner of the World) 感想

この世界の片隅に』(In This Corner of the World) の感想です。

MOVIX京都、TOHOシネマズなんば、大学での上映会でそれぞれ一回ずつ、あと飛行機内で二回。合計五回見ました。

 

※長いです。

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ずっとアニメ映画は幼児向けのものっていうイメージがあったから、あんまり観て来なかったんだけど(今思うと勿体無さすぎ)、今敏監督の『パーフェクトブルー』を観て、その考えが大きく覆されて。この作品もそうです。

 

去年の秋頃、アメリカ留学中、ちょくちょくネットで映画の情報をチェックしていたら、あまりにもアツい感想が次々と上がって。観た人の尋常じゃない熱意。それで、なんだこの映画は!と。

 

帰国して、早速、期待値を上げまくった状態で映画館に向かったから、もしかしたら期待しすぎてそんなにかもしれないとか頭の片隅で覚悟していたけれど、そんな心配全く要らなかった。

 

ああこんな映画をリアルタイムで映画館で観れる喜び。とんでもないものを観てしまったなと。情報量が凄まじいし、馴染みのない言葉も出てくるし、中々私の頭じゃ直ぐには整理しきれない、濃厚な二時間の体験。

 

一緒に観た人は、「すずさんがあまりにも可哀想で辛かった。」としばらく落ち込んでいたけれど、私は温かい気持ちに包まれてて。例えるなら、『アバウトタイム』を観たときの感じ。

 

何気ない日常こそが一番大切で愛おしいもので。今までと同じ景色なはずなのに、この映画のおかげで、全く違うものに見えてくる感じ。世界が色づく感じ。

 

戦争って、今までは歴史上の出来事としてしか捉えられなかったけど、すずさんたちの暮らしを観てると、当時の人にとってはそれが日常だったんだなあと。もちろん大変なことが沢山あって悲しいことも起こってしまうけど、恋もしたり些細なことで笑いあったり、私達と変わらないというか、ささやかな楽しいこともあって生きてたのかと。

 

当たり前だけど、今はもうおばあちゃんおじいちゃんでも、昔は私たちみたいな歳の頃があって、色んなことを経験してきたんだなってことも思い出して。そう思うと出会う人みんなが愛おしくなっちゃう。

 

戦時中の人は可哀想という考えがこびりついちゃってた私には、そういう点ではこの映画が救いだったのかも。

 

と同時に、好きな人と平和に暮らせてることの幸せさを思い出さされたなあ。

 

ここまで胸に響いた映画は久々だったので、原作も全部買ってみて。

 

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映画では省略されてたリンさんやテルさんのお話を知って、なおさら好きになって。繰り返し読んだけれど、やっぱり一番好きなのは波のうさぎ。

 

白波をうさぎに例えるなんて、テツさんキザだなと思ったけど最高です。惚れちゃいます。

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他にも山のように好きなシーンあるけど、全部書いてたらとんでもない長さになっちゃいそうなので、またいつか。

 

映画化されていなかったら、きっとこの漫画の存在も知らなかっただろうって考えたら恐ろしすぎる!

 

原作を踏まえてから、映画を観るのもとても楽しくて。「あ!ここの台詞ちょっと違う」とか。

 

映画を観てから原作また読み直すのも、これまた楽しくて。不思議と全部のんちゃんの声で再生されるから、心地よくてーー!!!

 

それでまた映画見ても新たな発見があったり。無限ループです。

 

何回か観た中で印象的だったのが、私の通う大学での上映会。

 

 平日の朝にも関わらず、千人弱入る会場がほぼ満席で。しかも普段こういう映画見なさそうなイケイケな大学生もたっくさんいて。(偏見の塊ですごめんなさい)すっごい熱気でした。

 

上映が終わった後、ロビーに展示が色々あって。その中に呉のマップがあったから、まじまじと眺めていたんだけど。私の隣にいたおばあちゃまが、「私この辺りにあの頃住んでいたのよ。懐かしいわあ。」って教えてくれて。なんだか今もどこかですずさんが生きていそうだなあと。丹念に作られた映画だからこそ、繋がりを感じれるんだと思う。

 

あと、この作品に出会うまで私は完全に「強さ」を履き違えてたなって気づいた。 

自分の信念を持って逞しく生きることと、どこでも自分を通して自己中心的に生きるのは違うんだなあって。私は完全に後者がかっこいいと思ってたけど、すずさんの強さに惹かれた。径子さんが言ってたように、すずさんは周りに決められた人生を生きてるようでか弱くみえるけど、他人思いで優しくて且つ芯があって!!

 

昔の私なら、径子さんみたいな人ドストライクなんだけど、すずさんの慎ましやかの中にも確かな思いがある感じも素敵だなって今は思います。

何でもかんでも自分の意見を通しまくるのが格好いいと思ってたのが恥ずかしくなりました。

 

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どっちも買っちゃった!!!

読んでると、作り手、観る側、どっちからも作品への愛が溢れてて。ここまで愛されてて、みんなの心にのこる作品に出会ったことないです。

  

こんな素敵なものが存在する世の中に生まれてきたことが嬉しくって仕方がないです!!

  

映画中に泣くイコールその映画は良い

っていう訳じゃないといつも思ってるけど、これは特別な映画。

 

もっと勉強して、来年の春あたりには呉に行こうかなーとぼんやり考えております。すずさんに会いたい!